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設立趣意書

放射線治療は手術、化学療法とともにがん治療の3本柱の一つで、身体への負担が少なく形態・機能温存を図れること、社会の高齢化とQuality of Life(生活の質)の視点などにより放射線治療を受ける患者数は増加の一途を辿っている。放射線治療の実施過程は複雑であり、その一連の過程に対する品質管理および品質保証の概念が必要である。誤って使用すれば死亡にもつながる障害を引き起こす可能性もあり、放射線の照射装置そのものの精度管理も欠かせないものである。 しかしながら、ここ数年たてつづけに「過剰照射事故」が報道されているように、医療現場ではこれらの精度管理を行う体制が整っておらず、 わが国の放射線治療の質、臨床試験や一般診療の質に影響を及ぼしている。

また、近年のinformation Technologyの進歩により、放射線治療も三次元放射線治療(多方向から放射線を照射することにより病巣への放射線を集中する治療方法)や強度変調放射線治療(三次元放射線治療をさらに進めて、放射線の照射範囲を自在に変化させることにより病巣の形状に合わせて放射線を照射する治療方法)が開発され、 一部のがんではいわゆるピンポイント照射が可能となるなど、急速に高度化が進んでいる。これらの先進的技術を行うために必要とされる品質管理、品質保証の内容も数倍に増加しかつ複雑となっている。これらの品質管理、 品質保証を行うためには専門の知識を持つ医学物理士が必須とされるが、医学物理士を採用している医療施設はごく一部に限られており、 先進的な技術の発展、普及および治療成績の向上のためにも早急な職制の確立および人材の育成が必要である。

一方で、これらのシステム、マンパワーを整えるのみならず、がん治療成績の向上のためには各施設間の較差を小さくし、技術面を含めた治療の標準化、質の確保も同時に必要である。

 

 本法人は、以上の認識に基づき、放射線治療の質の向上、高度先端放射線治療の普及に必要なセミナー等の事業を行い、 放射線治療の品質管理、品質保証および第三者的なチェックが可能となる体制を確立する。これにより治療施設間の較差が解消すると共に、 最近頻発している「過剰照射事故」の防止につながることが期待できる。また同時に放射線治療専門スタッフの育成および生涯的な教育を行い、放射線治療技術の向上、 高度先端放射線治療の普及によるがん治療成績の向上を可能とし、よって国民の健康・福祉の増進に寄与することを目的とする。以上をもってここに、 特定非営利活動法人放射線治療支援センターを設立する。

 

平成16年6月13日